FTMの妻、AIDの現場から。

33歳♀東京在住。AID(非配偶者間人工授精)に挑戦する夫婦の記録です。

【登録】いよいよスタート地点に

ここまで3回の来院で行った検査結果(良かったのか悪かったのか)は

特に知らされることもなく、

もともと予約していたドナー登録の日がやってきた。

後述する、別の婦人科への紹介状に

検査結果すべてOKと記してあったのを見て

はじめて問題ないのだなということがわかったけど、

まあなにか問題があればそのタイミングで知らされるんだろうな。

それにしても事務的だな…と思ったり。

 

さて、登録の日は夫婦での来院が必須条件。

初診の日ほど仰々しい説明は特になく、

面談室のような場所でいくつかの書類に署名、拇印を押す。

(拇印押すのなんて、自転車の無灯火で警官に注意された時以来だわ…)

そして、今後のフローを説明していただくのだが、

これがてんこ盛りなので正直一回ですべてを記憶するのは難しかった。

もらった書類にメモをしつつ、帰ってからも何度か復習するレベル。

…と、私はこんな感じだったのに、夫にあとで聞くと

「え?そんなに難しかった?」と言われてしまい…

記憶力のよい夫がいてよかった。笑

 

ドナー登録からはじめの2ヶ月間は準備期間として

治療を受けることができないそうな。

この間に、じぶんの身体と向き合って勉強することが必要そうだ。

そのことについてはまた次回以降で。

 

治療費:5,670円 (妻のみ)

【子宮卵管造影検査2日目】サクサク終了!

2日目は、あっという間に終わる。

やることは、きのう流し入れた造影剤が

子宮の中できちんと広がっているかをチェックすること。

検査着にも着替えず、洋服を来たまま

昨日の検査台に横たわって撮影、

あっという間に終了。

特に良いとも悪いとも言われないので

なんだかよくわからないけどたぶんOK、ということみたい。

 

都内在住の私は気軽に来れるけど、

この外来は全国から患者さんが来るとのことなので

遠くにお住まいの方はきっと大変だろうな…

そんなことをぼんやり考えながら病院を後にした。

※この日はそのまま出社。

 

診察費用:

1日目の費用とコミコミのため

この日は0円。

(ホッと一安心)

【子宮卵管造影検査1日目】痛い痛いと聞いてはいたが…

そういえば、初診の日に

先生に子宮をチェックしていただいたのだけど

その時に「問題ないでしょう、

次回の生理も予定通りくると思いますよ」と言われて

なぜそんなことが見ただけでわかるんだ!

先生すごい!と思った。

婦人科は生理不順でかかったことがあるけど

不妊治療については知らないことばかり。

毎回ほんと、勉強になる〜。

 

そして、先生の予言通り生理が来て、

先生の予言通りで予約した日に卵管造影の検査を決行。

 

 

不妊治療に少しでも興味ある方なら

聞いたことがあるんじゃなかろうか。

「子宮卵管造影検査は痛い」と。

私もなんとなくそんな認識はしていたものの、

でも私は生理痛もさほどきつくないし、

わりと痛みに強い方だと思っていたので、

まあ大丈夫じゃないかな、くらいの軽い気持ちでいた。

 

この日、一緒のタイミングで受ける人は私の他に1人だけのよう。

2人まとめて検査着に着替えるよう指示があり、その後待機。

当日は受付した順番に検査になるのだけど、

私は2番目に来たので、最初にいた方が先に呼ばれ

検査室へ移動していった。

待つこと…およそ20〜30分ほど。

さきほどの女性が帰ってくるのがカーテン越しにわかった。

その方は、「いつつつつ…」「はぁ、はぁ」と荒い呼吸をして

やっとのことで用意されたベッドに横たわったようだった。

看護士さんとの小声のやりとりからも

どうやらすんごく痛かったのだな、ということはわかり、

それを聞いていた私の緊張は一気に高まる。笑

ひえ〜〜、聞いてはいたけど、

そんなに痛いのかぁ…どきどきどきどき。

 

そして私の順番が回ってきたので、いざ検査室へ。

検査台に仰向けに寝かされて、位置の調整をしていると

担当の先生が挨拶をしてくれた。

そして、いよいよ器具のセッティングが行われようとしているとき、

看護士さんが私の肩に手をおいて説明してくれる。

「痛みの度合いは人それぞれです。

人によっては生理2日目のような鈍痛だったり、

激痛!という人もいますので、

やってみないとなんとも言えませんが

痛かったら痛いと言ってくださいね。

検査の仕方をその都度考えながらやっていきますので」

 

背中にはじんわり汗。

ですが実際は、管を入れるための器具を入れた時に

少し痛みがあったけど、これは婦人科で見てもらう時

だいたいいつも感じるあれぐらいの痛み。

その後、管を通って少しずつ造影剤というものが

子宮内に入っていくそうなのだが、

それ自体は「ああ、たしかに生理痛っぽい」と感じたものの

特別な痛みはなかった。

この造影剤を流し込む過程で、卵管が詰まっていたりすると

痛みが発生するんだそうだ。

ということは私はつまってなかったのかな。ふむふむ。

そんなことを考えていると、検査はあっというまに終了。

拍子抜けするくらいあっけなく終わってしまった。

ふぅ〜、よかった。

 

待合室に用意されていたベッドにしばらく休むように言われたので

そこでしばしの休息。

その間にもさきほどの女性は苦しそうな声を漏らしていて

大丈夫かしらと心配していたのだけど、

看護士さんとのやりとりを聞く限り、

どうやらポリープか何かをその場で切除したような雰囲気だった。

(なにそれ、痛そう…!)

どうやら、噂通り本当に人によるようだ。

 

その後30分ほど休んで、感染症予防のための抗生物質を受け取って終了。

大事を取って会社は休んでいたので、

ちょっと寄り道して(笑)帰宅した。

 

診察費用:28,350円(薬代含む)

(情け容赦ない金額に再び怯える私。笑)

【初診】先生から先生へ

あれだけ長い長いと絶望していた予約待ちの期間は

想像していたよりもずっと早く過ぎ、とうとう初診の日を迎えた。

 

実を言うと、はじめの方は往生際悪く

もっと早い予約がぽっかり空いていないかと

何度か電話で尋ねたりしていて。

でも、その焦りみたいなものは2〜3ヶ月もすれば

仕事の忙しさ等々に押し流されていき、

「今すぐ開始」と言われても逆に困る、

くらいの気持ちにはないっていた。

本当にAIDに進んでよいのかどうかをじっくり冷静に考える意味でも、

1年半という期間は決して長過ぎることはないなと今になって思う。

 

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当日は夫婦揃っての受診が必須。

朝イチの診察だったので、ふたりとも午前休をとっていざ病院へ。

 

必要な書類を書いて受付に渡したら、

産科の特殊生殖外来へ通される。

「特殊生殖」という言葉のインパクトに一瞬ひるむ。

そうか…特殊生殖か…。

そして、待合室で待つこと数分。

先生に名前を呼ばれ、まずは小さなカウンセリングルームに移動。

そこでAIDに関する基本的な質問を受け、またしても待ち。

しばらくして再び名前が呼ばれると、

今度はもっと経験の豊富そうな先生が登場して、

より細かい治療の話をしてくれた。

もっと根掘り葉掘り聞かれるのかなと身構えていたけれど、

おもったよりも良い意味で機械的

こちとら何人の患者抱えてると思ってんの〜という余裕すら感じられた。

ただし、ないがしろにされるわけでは決してなく、

患者に寄り添ってくれるホスピタリティを感じる。

なんか…安心できる。私は素直にそう思った。

 

そして、最後にカウンセラーの方とお話しを、

ということでこれまた別のカウンセリングルームで(何種類あるんだ?)

今度はもう少しメンタル面のお話をしてもらった。

治療について夫婦ではよく話し合ったのか、

子供への告知はどう考えているか等々を質問されたけど

ここでも大きな包容力を感じた。

先生たち、みんな優しい…。

 

3人の先生とお話をしたあと、次のステップへの説明を受けた。

次回は、私のみの受診で「子宮卵管造影検査」。

卵管が詰まっていたりしないかをX線で撮影して

きちんと妊娠できる状態であるかをチェックする

不妊治療の初歩的な検査だ。

検査の予約をとって、お支払をしたらこの日は終了。

 

診察費用:

夫 10,010円/私 27,980円/計37,990円

(高くて恐れおののく夫婦であった。笑)

【予約】まさかの1年半待ち

 

さて。

いざ書き出そうと思うとなかなか難しく考えちゃって、

どうも筆が進まず、更新遅れがちな今日このごろ。

やっぱりセンシティブな問題だからかな。

まずはリアルタイムに追いつくまで、

ちょっと前からの出来事を時系列にいろいろ書いていけたらと。

 

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私たち夫婦がはじめて病院に予約を入れた時、

案内された日時はなんと、1年半以上も先だった。

我が家の場合、実は最初の予約は夫がしてくれたのだけど、

夫からその事実を聞かされた時は正直動揺した。

1年半以上って。予約のとれないレストランかって。

年々需要が増えつつあることは認識していたけど

まさかそこまでとは想像もしてなかった。

 

そのころ、わたくし、齢32。

そこから1年半待って、治療がはじまったとしても、

すぐに成功なんてあり得ないだろうから…

1年、もしくは2年、3年…。

そう考えていくと想像上の私はどんどん年を取っていき、

次第に「35歳のボーダーライン」が頭をもたげる。

 

35歳のボーダーライン。

年頃の女性なら必ず一度は考えたことがあると思う。

日本産科婦人科学会が、

これ以降の出産を「高齢出産」と定義するはじめの境界線。

今や35歳以上の初産が増えているとはいえ、

やはりひとつの基準として意識せざるを得ない数字。

 

今後このブログでも触れることになると思うけど、

私はキャリア面でも出産については日々頭を悩ませており、

結婚してすぐに子どもを、という発想にならなかったことも

こういう事態を招いているのだけれど、

そしてそれはまぎれもなく自分の判断でもあるのだけれど、

それでもやっぱり、大きな不安が頭の中を支配していた。

 

ブログ開設

AID(非配偶者間人工授精)という言葉を、

私は数年前までまったく知らなかった。

ところがとあることがきっかけで、

この治療法を深く知ることになり、

やがて自分が経験することになる。

人生とはまったく、

一寸先のことすらわからないもんだ。

 

AIDについては、いまの時代だとまだまだ特殊かつ、

デリケートなトピックだ。そこは強く認識している。

ではなぜ、私がブログを書こうと思ったか。

答えはただひとつ。

 

情報が少なすぎるから。

 

知識を深めたくて本も新聞記事も複数読んだし、

AID経験者、AIDで生まれたお子様たちの自助グループの意見なども

出来得る限りたくさん調べた。

けど、ない。あまりに情報がない。

治療自体は1948年から開始されているわけで、

かれこれ70年近い歴史があるはずなのに。

ネット検索すればなんでも調べられるこの時代なのに、だ。

これ自体、この治療が孕む問題点のひとつだと思う。

 

AIDというすでにある治療をタブーにしてはいけない。

だからこそ、多くの人が知るべきだと、知ってほしいと思う。

 

私自身、まだまだ勉強中だし

これが私たち夫婦にとって最善の道かなんて

胸を張って言えるわけもないし、

倫理観、もしくは自分たちの人生観において

もっともっと真剣に考えていかなくては

ならないことだとは思っている。

 

AIDを受ける夫婦には

それぞれ抱えている問題があると思う。

私たち夫婦にも、どうしても避けられない事情がある。

(これについてはこのブログの中でゆっくりお話できればと。)

どんな事情があるにせよ、

人の命に関わるこのAIDという選択を、

誰一人として軽はずみに考えているはずがない。

同じ境遇にある方、

もしくはAIDという治療法に興味のある方、

反対の意見をお持ちの方等々の意見交換の場として。

なにより自分自身の中に絶えず生まれる

さまざまな感情、考え方をとどめておきたくて、

このブログを開設しました。

 

更新頻度遅めですが、

治療お経過報告、日ごろ思っていることなどを

書いていけたらいいなと思っています。

同じ経験をしている方、しようと思っている方、

その他どなたでも、コメントやメッセージください!