FTMの妻、AIDの現場から。

33歳♀東京在住。AID(非配偶者間人工授精)に挑戦する夫婦の記録です。

【いよいよ施術開始!】想像以上に機械的で拍子抜け。

 

またまた更新が止まっておりました。

年度末、年度はじめに仕事でいろいろあって

いろんなことへの気力を失っていたのだけど、

最近とてもうれしいことにコメントをくれる方が増えて

ブログを書こう!と思えるようになりました(ゲンキン)。

みんな本当に悩んでいるんだなあ…と痛感するとともに

やっぱり思うのは、FTMをはじめとした

LGBTの当事者たちのためのコミュニティはあっても、

そのパートナーのコミュニティというのは

まだまだ少ないのだなということ。

私自身、この件について話せる相手が

病院の先生しかいないので、

「私も!」と声をかけてくれるだけですごく励みになるしうれしいです。

ゆくゆくは、オフ会みたいなことも

できたらきっとすごくイイだろうな、なんて思うけど

ビビリだからもう少しだけ様子を見ようかな、という今日この頃。

 

さて、今回はいよいよ始まったAID治療のことを書こうと思います。

私はこのブログで「施術(せじゅつ)」という言葉を使っているのだけど

これは正式な呼び方ではなく、先生や世の中のAIDを受けている方々は

おそらく「受精」と言っているみたいです。

私はなんだか「今月の受精日は…」とか

「今日、無事受精してきたよ」とか言うのが

とんでもなく生々しいなと感じて、

はじめからずっと「施術」と言ってます。

合っているのかはわからない。

でも、やっぱり受精はイヤなので

「施術」でいかせていただきます。

ではでは、スタート。

 

========

2周期分の準備期間を終えて3周期めの生理の後、

例によってお手紙で来院予約をとる。

予約がとれると同意書が送られてくるので、

それに夫婦でサイン+拇印を押して

その周期の排卵予想日に合わせて来院。

(具体的な来院日はこのタイミングで別途電話で予約する必要あり)

 

正直、はじめての施術の日は

なんだかものすごくメランコリーな状態にあった。

「ああ…いよいよだ」

「まったく赤の他人の精子を、この体内に迎え入れるんだ」

「こんなことをする私の運命は、いったいなんなんだろう」

などなど、頭と心の中に充満する不安と葛藤で

船酔いのような感覚になっていた。

 

しかし、すぐにそれは取り越し苦労であったと気づき、

鬱々とした気分はあっという間に吹き飛んでしまうのだった。

と、いうのも、AIDのこの施術、実に機械的に行われるのだ。

先生に卵の大きさをエコーで調べてもらい、

受精可能というジャッジが下ると、

別の処置室で「排卵誘発剤」を肩に注射してもらって待機。

しばらくすると数人分の番号が一気に読み上げられ

順番に施術室に入るよう促される。

私が受けた時でざっと5人は同時に受けていたと思う。

もちろん、FTMということではなく、

男性不妊による妊活中の方々が大半だと思う。

不妊治療を受けている人は多いと聞くけど、

本当にそうなんだなあ…と実感した。

 

施術自体は10分もかからない程度で、

おそらく「卵管造影検査」の時に

管を通すために使用した器具を入れて

子宮内に精子を注入するだけ。

スタイルは違えど、仕組みとしては

性交渉による通常の受精と何も変わらない。

もともと理解していたことではあるが、

実際に体験してみるとあまりにもあっけなくて

なんだかものすごくホッとしたのを覚えている。

なんなら、素性も知らぬドナーの方に

心から「ありがとうございます」という気持ちさえ芽生えていた。

 

施術が終わると、すぐに支度をして退室してOK。

少し前までは、施術のあと10分〜30分程度

安静にしていることが義務化されていたそうが、

これには医学的に特に意味がないということがわかったのだという。

私は挿入した器具による鈍い痛みを感じていたため

ほんの数分だけ横にならせてもらっていた。

看護師さんは「大丈夫になるまで、ゆっくりしてくださいね」

と言ってくれた。

 

施術室を出たら、そのままお会計をして

処方された抗生物質を受け取って帰宅。

抗生物質は子宮に器具を入れた際に感染症などがおきないよう

念のため渡されるものだ。

やはり感染症予防のため今日は湯船には浸からないようにと

言われたこと以外は、特段気をつけることなく

ふだんと同じ日常を過ごしてよいとのことだった。

そりゃそうだよね、

セックスしたあと◯◯しちゃダメ、とかないもんね。

そんなことを思いながら病院を後にした。

 

その頃にはとっくに気分は晴れ、

なんだかひと仕事終えたような気分になって職場へ向かったのだった。

 

かかった費用:

33,761円(診察、注射、施術、投薬代含む)

※ちなみに現在では料金改定により約3倍なっているので注意